農園のご紹介
想い継がれる農園
信州伊那谷でりんご一筋60年
北城農園があるのは、長野県南部に位置する信州伊那谷。南アルプスと中央アルプスに囲まれ、天竜川がその間を流れるフルーツの里です。山間の河岸段丘には、りんごをはじめ、ブランド干し柿として有名な「市田柿」、栗、梨、ぶどうの畑が広がっています。なかでも当農園がある標高700m、かつて「増野原」と呼ばれた高台の一帯は、知る人ぞ知るりんごの名産地。他の産地とは違う山々に守られた独特の風土が、甘くシャリっとみずみずしいりんごを育てます。また、季節の走りから蜜入りサンフジが楽しめるのも特徴。希少な「増野のりんご」と呼ばれ愛されています。私たちはこの地で60年りんごを作り続けています。
女性が切り盛りする農園
毎日愛情たっぷりにりんごのお世話をするのは、北城農園生まれのパワフルな姉妹です。りんご農家といえば力仕事が多く男性中心の社会。美味しいりんごが大好きなのはもちろん、「女性だってやればできる」の一心で果樹栽培を学び、「もっといいりんご」「もっといいりんご」と夢中でりんごを作ってきました。自分の家族に食べさせるものなら、減薬による安心・安全は当たり前のこと。とびっきり美味しいりんごをお求めやすく提供する工夫もしています。ゆったりとした時間が流れる信州。二代目を継いだ陽気な婿園主にベテランスタッフさん、若い世代もときどき手伝い、家族仲良くけんかしながら農作業に励んでいます。
想いをつなぐ巳年のりんご
北城農園の「巳」印は、初代園主の名前「巳年」に由来。屋号としてりんごを出荷するときに使われます。戦後に山林を切り拓いて作られたこの農園は、りんごを味わう豊かな生活を想い守られてきました。効率より質。先代から受け継いだ品質へのこだわりを最も大切にし、より美味しいりんご作りへの改善も重ねています。私たちの一番の楽しみは、毎年秋になると長年りんごをご愛顧くださるお客さまから「今年のりんごはどうかしら?」「今年も遠く離れた家族やお取引先へりんごを贈りたい」とお便りが届くこと。これからも、お客さまの「おいしい!」のために、また、お客さまが大切な方へりんごを贈る気持ちを大切にし、時代とともに進化していきたいと思います。
美味しさの秘密 – 風土
甘味と食感を作る独特の風土
りんごの栽培には、標高が500m以上、年平均気温が10度の寒冷地、昼と夜の寒暖差が大きく、雨が少ない地が適しているといわれています。私たちのりんご畑は標高700m、高台の山肌にあり、澄みきった空気のなか昼はサンサンと太陽があたるためりんごがスクスク育ち、夜は夏でもクーラーが不要なくらい急激に冷えるためりんごが身を守ろうとします。この繰り返しによって甘さやコクがある歯ごたえの良いりんごができます。農園がある伊那谷は、国内の主要なりんごの産地では最南端。りんごが美味しくなるギリギリのタイミングまで樹のうえで完熟させることができるので、蜜が入りやすくなるといわれています。
台風からりんごを守るアルプス
「守ってくれてありがとう、日本アルプス」 毎年、夏から秋にかけて大型台風が日本列島を通過するたびに農園から望む南アルプスに感謝をします。3,000m級の山々が東西に連なる伊那谷では、この鉄壁の山々に台風が進路を阻まれるため、上空を通過することが少ないといわれています。ここ数年最強クラスの台風が頻発していますが、私たちの農園では奇跡的に大きな被害を受けることなく、毎年お客さまへ無事にりんごをお届けし続けています。信州の雄大な山々が文字通り美味しいりんごを育み守り続けているのです。
美味しさの秘密 –
こだわりの栽培方法
成木で育つりんご
私たちの農園は、樹齢20年から40年の「成木」による栽培にこだわってきます。幹が太く大地に深く根をはる成木は、お天気に左右されにくい生命力の強さが特徴です。栄養も水分もしっかり吸い上げるため、果汁が多く、りんご本来の甘さやコク、風味あふれるりんごができます。一方、いまの主流は小型の木をたくさん植える「わい化栽培」。均一のサイズで色づき鮮やかなりんごが数多くできるため推奨されています。小型の木は、根が浅く取り込む水分が少なく夏の乾燥に弱いため、当園で育つ両方のりんごを食べ比べると味の違いは歴然。成木は木が大きく、作業には高いハシゴが必要で体力を使い手間もかかりますが、お客さまの「おいしい!」のため、昔ながらの成木栽培にこだわっています。
りんごも人も喜ぶふかふかな土
「ここの畑はふかふかしているから足腰が疲れない」 繁忙期に農園を支えるベテランスタッフさんの言葉です。おいしいりんごを作るためのもう一つのこだわりは、年間を通して行う柔らかい土づくり。牛のたい肥といった有機肥料を多く使い、リサイクルしたおがくずを土にまぜ、ミミズや微生物の力を借りながら栄養豊かでふかふかな土を作り上げます。そして草刈りも柔らかい土を作る大切な作業。土の水分蒸発や土壌の浸食を防ぐためにりんご畑では草をはやしますが、伸びすぎれば害。刈った草も含め自然の肥料は何年もかけて土へかえり、時間をかけて豊かな柔らかい土壌を育んでいくのです。
りんご作りの春夏秋冬
りんごは収穫されるまでにひとつの果実を8回手入れします。氷点下の寒さが続く冬は、枝を整える「剪定」作業。今後のりんごの質や成長を決める最も重要で芸術的な作業です。雪どけともに肥料を与え、春に白い花が咲いたら小さな蜂と人間で受粉を助ける「花つけ」。初夏には余計な花や実を間引く「摘花」「摘果」と呼ばれる作業をひとつひとつ手で行います。りんごの実が野球ボールぐらいになる夏には、太陽の光があたるよう枝を整えたり、りんごで重くなってきた枝を支柱やロープで支えます。秋の収穫前には「葉つみ」「玉まわし」でりんごが完熟するお手伝いをし、早い品種で8月下旬から、主力のサンフジは11月中旬から待望の収穫をむかえます。 りんごは嘘をつきません。小さなひと手間を丁寧に、最高品質のりんごをお客さまにお届けします。